外科医として大学病院で患者さんに向き合う中で、様々な問題やジレンマに直面してきました。その一方で、ほんの数年の親孝行のつもりで関わった実家の薬局には大きな問題はありましたが、それを上回る可能性があるのではと感じるようになりました。
処方せん調剤業務に特化・専念する「調剤薬局」ビジネスの破壊力はすさまじいものがあると感じました。医薬分業推進という国の施策にのっていることに加え、きわめて高い客単価と利益率を顧客に意識させずにすむ保険調剤という仕組みはほぼ完璧に近く、私もビジネスとして魅力ある分野だと思いました。
しかし、その一方で、一医師として見たときに、薬剤師は医療人としてのやりがいをどうやって見つけているのだろうかという素朴な疑問がありました。
ビジネスモデルとしては優秀ではあるが、現場にたつ薬剤師のやりがいは十分とはいえない。
このジレンマを打ち破るために、私たちは、「薬剤師としてのやりがい」にこだわることにしました。そうすると、ビジネスモデルとしては、現時点で最善とはいえない方法をとらなくてはならない場合もでてきます。また、”No pain, no gain”の言葉があるように、薬剤師自身も今までのある意味で安穏とした環境に踏みとどまっているわけにはいかなくなり、それには時に大きな痛みも伴います。
実際、私が代表に就任してから約8年間様々なできごとがありました。いいことばかりではありませんでしたが、私たちがこだわった「薬剤師としてのやりがい」に目覚める薬剤師が少しずつ増え、私が医師として信頼できる薬剤師が一人、二人と出てきました。このような変化が積み重なっていけば、きっと私たちが理念として掲げる「新しい医療環境の創造」につながっていくのだろうと思います。
業界にとっては非常識とも思える私たちの挑戦に賛同し仲間に加わっていただければ、私たちにとってこんなにうれしいことはありません。志あるみなさまのお力をお待ちしています。